studioPRANAの理念

Studio PRANA Philosophy

林美樹とつくる自然な建築とくらし

Studio PRANAは伝統的な構法を活かした木造の設計を得意としています。
もちろん、敷地や建築の規模や性格、その他の条件からRC造や鉄骨造が適している場合は、それらを採用し、構造の特徴を活かすのはいうまでもありません。

日本の建築は古来、殆どが木造でした。その理由としては、木材が豊富であったことに加えて、木造の建造物が気候風土に最も適していたと考えられます。
Studio PRANAでは木を活かして、自然環境に溶け込むような、そんな建築をつねに提案していきたいと思っています。

ここでは、住宅設計を例にして、空間づくりで大切にしていることをお話いたします。

自然体で過ごせる場をつくること

身体の力を抜いて、お日様の暖かさを感じ、自然の風に身を委ねられる、五感に働きかけて、心地よいと感じられるそんな場所をつくりたいと思っています。

スタイルを押し付けるのではなく、誘発する

空間は、作り込みすぎる事なく、ちょっと未完成なくらいの方が良いと思っています。竣工した時が最終形ではなくて、家は住む人によってさらに育っていくものだからです。そんな新しい生活にたいして、イマジネーションが膨らむ、豊かさを秘めた空間であって欲しいと思っています。

土地の声を聞き、その場に根を生やす

敷地が持っている力、個性、魅力を引き出すような空間づくりに心がけています。そして、その後時間が経つにつれ、その景観をさらに魅力的にしていくような、そんな建築を目指しています。

気が流れるように

事務所名の「PRANA」はサンスクリット語で「気」という意味です。気が高まるような、そんな場を作りたいといつも考えています。自然には逆らわず、受け入れながら、、、。

スローな感じでいく

90年代に2年間北イタリアで過ごしました。学んだことは「スローなものの考え方」です。といっても、ぐずぐず考えるという意味ではありません。もっとゆっくり、過去や未来を見つめる事。時間をもっとゆったり過ごす事。急がないこと。長いスパンで考える事 etc. とても大切なことだと思います。

素材 について
働いて、土に返るもの。 長持ちして、時間が経つと魅力的になるもの

基本的には、「働く自然素材」を使いたいと思っています。調湿、蓄熱、防火など様々な役割を果たしてくれる自然な素材。そして廃棄してもゴミにならず土に返る素材。それは、木、紙、土、草などを原料としたものです。それ以外の断熱材なども、できるだけ天然の素材か、他の素材と相性の良い物を選び、それらの素材が持つ特性、性能を充分発揮できるような使い方に心がけています。 これらの自然素材は、時間が経つと、さらに味わいのある表情になることも、大きな魅力です。

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架構について
骨は丈夫で美しく

どんなに表面を繕っても、骨組みがしっかりしていなかったら、長持ちはしません。木造に限らず、私は構造矩体、架構計画にはかなり重みを置いています。生き物の骨格は、合理的で実に美しいものです。建築も同じだと思います。また、その骨組みを意匠的にも活かし、創意工夫を凝らしていきたいと思っています。

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開口部について
内と外のいい関係

窓や扉の位置や大きさ、形状には、正直、設計者の私でも最期まで迷います。外と内とを繋ぐこの場所は、外観にも内側の空間にも大きな影響を与えます。眺望、風の流れ、光の移ろいのほか、実用的な使われ方も含めて検討します。また、庇の下、濡れ縁、テラスなどの空間は、内と外の関係をソフトにしてくれる大切な場所です。限られたスペースでも、開口部の取り方で空間に奥行きを感じる事ができます。

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パッシブな考え方について
自然に逆らわず、恩恵を受けとる。機械に頼らない

パッシブとは『受動的』と訳されますが、自然の力を受けとり、自然と共存することを指します。ジェット機がアクティブだとするとグライダーはパッシブということになります。建築では、「できるだけ化石燃料などを使わずに自然エネルギーを使う、自然の風や熱を環境負荷のないように利用する」ということになります。その意味からすると、日本の民家は実に「パッシブ」でした。今から、茅葺きの家に戻れなくても、日差しを遮る、自然の風を取り入れる、太陽熱を利用する等、出来るだけのことはしたいものです。

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伝統構法について
戦わない、でも挑戦するデザイン

伝統構法と言っても、時代や地域で様々です。伝統技術といっても、時間とともに進化していくものですから、一言で「これです!」とは言い切れません。その真髄は守り、新たな工夫を加えていきたいと思っています。もうひとつ言える事は、伝統構法はただの職人技をさすのではないという事。それを取り巻く、ものつくりの場における人と人の繋がりや、それによって生まれる地域との関係、社会との関係なども含むのです。自然を受け入れる「パッシブ」な心意気も、伝統構法のなかには生き続けていると思います。

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職人さんあってこそ
できるだけ、手作りにこだわりたい

伝統構法を活かしたいと思いながら設計に取り組む事で、良い職人さん達と出会う事ができました。同じ家をつくるなら、腕のよい職人さんに作ってもらいたいものです。ひとつひとつ手作りされたものの良さは、機械で大量に作られたものとは比べ物にならない、豊かで味わい深いもの。木材も大工さんが一つ一つその癖をよんで、手刻みをします。左官も、一軒一軒、一つとして同じ仕上げはありません。

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植物の力を借りること
微気候をつくること

都会のヒートアイランド現象は今も進行しています。今や、心地よく暮らすためには、自分の家の中だけで考えていたのでは限界があります。緑被率を上げると温度が下がるという研究結果がありますが、住宅でも緑の力を借りて、自分も心地よく、周囲も心地よくなるよう、工夫したいと思います。建物だけでなく、常に外構や庭も含めて、考えるようにしています。

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できれば木をつかいたい
山と森も守りたい

森林を増やす事はCO2削減に繋がります。しかし、山も手入れをしていかないと健全な森林にはなりません。国産の木材を使う事は、その助けにもなるわけです。林業衰退は、実際には一筋縄でいかない問題なのですが、まずは実行。出来るだけ地元の材料を使う事は、運搬の際の無駄なエネルギーも使わずに済みます。最近は、東京の仕事では多摩産材(青梅材)を使っています。東京の森を少しでも元気にしたいと思っているからです。

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家づくり、リフォームをお考えの方へ

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